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2025.12.15

金型管理

屋外保管の金型でのQRコード管理はできる|ジップロックの活用

以前のブログで、金型の管理にQRコードを活用する方法についてご紹介しました。

金型管理にQRコードを導入する方法|経産省マニュアルを現場で再現してみた

金型管理にQRコードを導入する方法②|QRコードの貼り方実践編

昨今では、金型管理の効率化を目的に、QRコードを活用を検討している会社が増えているようです。
しかし、よく寄せられる悩みが次のものです。

「うちは金型を屋外保管している。QRコードのラベルなんて、どうせすぐダメになるのでは?」

実際、金型の屋外保管は珍しくありません。

経産省が公開している型運用マニュアルでも、屋外に積まれた錆びた金型の写真が掲載されているなど、
よくある保管方法として認知されています。
経産省の資料 型運用マニュアルに掲載されている金型の屋外保管の写真

屋外で保管する場合、雨・湿気などによって、金型自体が錆びて劣化しますが、
識別用のラベルや銘板なども劣化して、はがれたり読めなくなったりすることがしばしばあります。

この記事では、「金型 × QRコード × 屋外保管」 という課題に対して、
現場で無理なく運用できる、もっとも実務的な解決策を紹介します。


金型を屋外保管するとQRコードやラベルが劣化しやすい理由

屋外保管の環境では、金型そのものが劣化するように、ラベルや銘板などの識別情報も劣化していきます。
これは、屋外保管をしている企業なら誰もが経験している課題です。

ラベルははがれてしまい、銘板はさびてよめなくなってしまいます。

紙ラベルは雨・湿気・紫外線で一気に劣化する

以前のブログで紹介したQRコードでの管理方法では、紙に印刷したQRコードをネームプレートに入れて磁石で張り付けたりしました。

しかし、QRコードを紙に印刷して貼る方法は手軽ですが、屋外保管では問題があります。

  • 雨や雪で紙がふやける

  • 湿気や結露で変形する

  • 日光で色が薄れる

そのため、これらはネームプレートに入れても屋外保管と紙ラベルは非常に相性が悪いと言えます。

金属銘板なら丈夫か?実はそうでもない

「金属なら屋外でも大丈夫」と思われがちですが、実務では次のような課題があります。

  • 鉄製銘板は当然錆が進む

  • ステンレスでも微細な傷から腐食する

  • 摩耗により文字やQRコード刻印が薄れる

屋外に置き続けるかぎり、“絶対に劣化しない”識別方法は存在しません。

マーカー書きも屋外保管では長期耐久しない

金型本体に直接書く方法もありますが、

  • 錆で文字が埋もれる

  • 雨・油・摩耗で薄くなる

  • 作業時に擦れて消える

などの理由から、屋外では長期的に残りません。


屋外保管の金型に必要なのは「壊れない方法」ではなく「直せる方法」

屋外保管の金型にQRコードを付けるとき、
多くの人が“壊れないラベル”を探しがちです。

しかし、屋外ではどんな素材でも劣化します。

そこで重要なのは、

壊れにくさより、壊れてもすぐ直せる仕組み。

施工が簡単で、交換コストが低く、誰でも手軽に対応できる方法こそ、
屋外保管の金型管理では最も現実的です。

この考え方が、DXの本質にも合致します。


屋外保管の金型に最適なQRコード管理方法:ジップロック+ネームプレート

以前のブログでは、QRコードを百均のネームプレートに入れて金型に取り付ける方法を紹介しました。


屋内では十分機能しますが、屋外では湿気や雨が入り込みやすいという弱点があります。

そこで今回おすすめしたいのが、

QRコードをジップロック袋(透明袋)に入れて保護する方法

食品保存用の袋に入れるだけで、屋外保管で起こる多くの問題が解決します。
QRコードが入ったネームプレートをチップロックに入れてる様子

ジップロック袋が屋外保管に強い理由

  • 袋の外側からQRコードを読み取れる

  • 汚れや油は外側を拭くだけで除去できる

  • どうしても読み取りにくければ袋から取り出せばよい

  • 劣化したら袋だけ交換できる(数円)

  • コンビニでも100均でもどこでも買える

  • 特別な設備が不要

  • ラベルが濡れないので紙のままでも運用できる

屋外保管においては、紙を守る透明袋という構造がもっとも合理的なのです。

見た目より実用性を優先するのが「屋外保管 × QRコード管理」の正解

高価な銘板や専用ラベルはたしかに見た目は良いのですが、

  • 屋外での劣化リスク

  • 更新の手間

  • 交換コストの高さ

といった問題から、屋外保管では必ずしもベストではありません。

一方、ジップロック袋は、

  • 交換コストが極めて安い

  • 誰でもすぐに交換できる

  • QRコードが読めない時間を最小化できる

という点で、屋外保管の金型管理に最も適しています。

実際にやってみた

当社でも廃棄が決まってる金型や、かなりの年数使用していない金型など一部の金型は屋外に置いています。

その中の一つのジップロックに入れたQRコードを張り付けてみました。

屋外保管されてる金型にチップロックにいれたQRコードを付けてる様子

ジップロックを介しても問題なく、金型にくっつきます。
吸着力もそれなりにあり、多少の風などでは外れそうにないです。(ちなみにこの日は雨でした)。

ただ、このように風などの影響がすくないところに貼り付ける方がよさそうです。
屋外保管されてる金型にチップロックにいれたQRコードを貼り付けてる様子

 

ちなみに、ジップロックに入れた状態でも、QRコードは問題なく読み取れました。

下記の写真は、上記の写真をiPhone の写真アプリで開いたときのスクリーンショットですが、
ちゃんとQRコードを認識して、chromeで開く、という選択が表示されてることがわかります。

チップロックに入った状態でもQRコードをちゃんと読み取れることがわかる写真

 


「金型 × QRコード × 屋外保管」は身近な工夫で十分DXできる

DXという言葉は“すごい仕組みを導入すること”のように扱われがちです。

しかし、DXの本質は、

  • 現場の手間を減らし

  • 情報を守り

  • 作業者を楽にし

  • ミスや手戻りを減らす

こうした改善の積み重ねです。

屋外保管の金型管理において、
透明袋・ネームプレート・紙のQRコードという構成は、
低コストなのに効果が大きく、DXとして非常に理にかなっています。


まとめ:屋外保管の金型でもQRコード管理は十分実用化できる

この記事で扱ったポイントをまとめます。

  • 屋外保管ではラベル・銘板・マーカー書きが高確率で劣化する

  • 重要なのは「壊れにくさ」より「壊れてもすぐ直せること」

  • QRコードをジップロック袋に入れるだけで耐久性が飛躍的に向上

  • 最小のコストと手間で金型管理DXが実現できる

  • 屋外保管でもQRコード管理は十分に成立する

屋外保管だからといって、QRコードによる金型管理を諦める必要はありません。
こうした“工夫の積み重ね”こそが、現場のDXを前に進める最も確実な方法です。

「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です / QR Code is a registered trademark of DENSO WAVE INCORPORATED in Japan and in other countries.

「ジップロック」は旭化成ホームプロダクツ株式会社の登録商標です。

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