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2025.12.17

金型の廃棄とマニフェスト

金型 廃棄 Q&A|マニフェストとリサイクルの基本を解説

金型の廃棄やマニフェストについては、制度が複雑で誤解されやすいポイントがいくつかあります。

ここでは、これまでのシリーズ(「金型の廃棄とマニフェスト」)を踏まえ、
特に質問の多い内容を Q&A形式でわかりやすく整理しました。


 

Q1. マニフェスト(産業廃棄物管理票)は誰が発行するの?

業者に「マニフェスト出しておいて」と頼んでもいいの?

A. 発行者は排出事業者(=あなたの会社)です。

これは廃棄物処理法で定められており、名義は必ず排出事業者になります。

■ 実務では業者が書類の記入をサポートしてくれる

  • 記入作業は手伝ってもらえることが多い(ただし業者によるので、100%ではない)

  • ただし 責任と名義はすべて自社

「任せきり」はNGで、法的責任の所在は変わりません。

■ 有価物の場合でもマニフェスト様式の使用は可能

証拠書類として利用するために使用されることがよくあります。
この場合は廃棄物処理法の対象外のため、法的責任は発生しませんが、
形式上は自社が発行した書類という扱いになります。

■ 「業者がマニフェストを発行する」は厳密には誤り

あくまで
「自社名義のマニフェストを、業者の協力を得て運用する」
という理解が正しいです。

■ 金属リサイクル伝票は業者が発行する

金属スクラップのリサイクル伝票は業界団体加盟社が発行するため、
こちらは 運搬業者側が発行する 書類です。


 

Q2. マニフェストを発行したら、その金型は“産業廃棄物として処理した”ことになるの?

A. マニフェストの発行=産業廃棄物扱いではありません。

確かに、産業廃棄物として処理する際にはマニフェストが必須ですが、
逆に 有価物でもマニフェスト様式を使うことは可能 です。

■ 有価物処分でマニフェストを使う現場事情

  • 証拠書類として残したい

  • トレーサビリティ確保

  • 社内の統一書式運用

こうした理由で活用されます。

したがって、
「マニフェストがある=廃棄物扱い」ではありません。


 

Q3. 産業廃棄物として処理した場合、その金型はリサイクルされない?

埋立地に捨てられるの?

A. 通常は破砕され、鉄として再利用されます。

「産業廃棄物=埋立て」というイメージがありますが、
金型のような金属は ほぼ確実にリサイクルルートに乗ります。

マニフェストを出して金型を捨てる場合は、リサイクルされないという誤解が散見されますが、
これは、
①そもそも「マニフェストを出す≠産業廃棄物としての処理する」ではない、
②仮に産業廃棄物として処理した場合でも、通常は再生利用される。

という2点で誤解があります。

■ どのような場合に、金型は産業廃棄物扱いになるのか

  • 輸送費 > 引取り価格 の場合
     → 運搬中は価値がマイナスなので「産業廃棄物扱い」になる(いわゆる逆有償の場合)
     → しかし到着後は鉄くずとして価値がある(=到着時有価物)

  • 所有者の強い希望により産廃扱いにする場合もある
    →設計情報・機密管理の理由で「確実に廃棄したい」という場合、所有者の判断で産業廃棄物ルートに乗せることもあります。
    しかしこの場合でも破砕 → 溶解 → 再生金属へ、という流れが一般的です。

■ 再利用されないのは特殊事情があるときだけ

  • 汚染がひどい

  • 再生利用が技術的に不可能

  • 危険物質が付着している

実際こういうケースがあるかはわかりませんが、可能性としてはこういうこともあるでしょう。

■ 結論

  • マニフェスト=産廃ではない

  • 産廃=埋立てではない

  • 金型は基本的に資源として再利用される


 

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