材料の性質を表す言葉として、機械的性質あるいは、機械特性と呼ばれる性質があります。
例えば、
- 強度
- 延性
- 靭性
- 硬さ
といったものがあります。
これらは一見バラバラに見えますが、それらの関係性を応力ーひずみグラフの中で整理できます。
応力ーひずみグラフのなかでこれらの性質を位置付けてみると、それぞれの違いが理解しやすいのではないかと個人的に感じています。
そこで今回は応力ーひずみグラフのなかでこれらの機械的な性質について考えてみたいと思います。
応力ーひずみ線図について
一般的には引張試験等の強度試験において、応力とひずみの関係を示したグラフを応力-ひずみ線図と呼びます。
このブログでは引張試験を前提に話していきます。
下記の画像のようなグラフとなります。

引用元:応力-ひずみ線図 | 試験機の基礎 : 分析計測機器(分析装置) 島津製作所 最終アクセス日:2026年4月16日
グラフと機械的特性との関係
強度(引張強度)
引張試験においては、その材料に加えられた最大の応力を「引張強度」とします。
したがって強度はY軸で示される特性ということになり、強度が高い・低いというのは、このY軸の値の大小に対応しています。
延性
延性とは材料が引張力を受けたときに、破壊されずに引き延ばされる性質のことです。
つまり延性は、X軸に現れることになります。
延性が高いということはX軸の値が大きく、逆に延性が低い材料では破断したときのX軸の値が小さくなります。
靭性
靭性とは、ある材料が破壊に至るまでに吸収できるエネルギーの量をいい。
靭性が高いものはより多くのエネルギーを吸収し、逆の場合には少ないエネルギーで破壊されます。
この靭性は、応力-ひずみ線図においては、グラフの積分値という形で表現されます。
また靭性が高いことを「粘り強い」、靭性が低いことを「脆い」と呼ぶことも一般的です。

つまり、先ほどのグラフにおいては、上記のようにオレンジで塗ったところの面積が、靭性を表します。
この面積が広い場合にはより大きなエネルギーを吸収しているということになり、靭性が高いということになります。
硬さ
硬さというのは、材料表面近傍における抵抗力といえるかと思います。
つまり、材料表面にものがぶつかった時に表面が変形したり、傷がつくかどうかという性質です。
変形など起きない場合には硬いということになります。
硬さの定義については学問的にはなかなか難しいらしいので、ここではあまり深入りしません。
さて、硬さはロックウェル硬さ試験やビッカース硬さ試験等の硬さを測定する試験で測ることができます。
しかし、上記までの応力-ひずみ線図には硬さは登場しません。
一般的に硬い材料は靭性が低く、柔らかい材料は靭性が高いという傾向があります。
そういう点で、硬さと靭性には一定の関係があるように見えます。
しかし、それはあくまでも一般的にそういう傾向が強いというだけで、靭性と硬さは全く異なる指標です。
応力-ひずみ線図で位置付けて機械的な特性を考えてみると、硬さが登場しないという点で、靭性と硬さが本質的には異なるものであることが感じられるように思います。
まとめ
「材料が『強い』」という場合と、「材料が『粘り強い』」といった場合、具体的にそれらは何を指してるのか?ということをはっきりと意識していない人もいらっしゃるかもしれません。
ここで確認してきたように、
「強い」という場合には、それは強度が高いということをいうので、その材料が耐えられる応力(グラフのX軸の値)が大きいということになります。
一方、「粘り強い」といった場合には、それは靭性のことを話しているので、グラフの積分値が大きいということになります。
当然ながら、X軸の値の大きさと、積分値の大きさは異なるものです。
だから、この二つが意味しているところがそれぞれどこか?ということを適切に認識できることは重要です。
応力-ひずみ線図で理解をすると、どの機械的特性がどの値を示しているかで理解できるので、理解の一助になるのではないでしょうか。

