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2025.11.03

その他

なぜナレッジ共有ツールが必要なのか|NASやクラウド化だけでは解決できない理由

はじめに:なぜNotionで金型台帳を管理しているのか

以前のブログでも紹介しましたが、当社では金型の台帳をNotionでクラウド管理しています。
もちろんこれは台帳専用というわけではなく、生産設備のマニュアルや保全手順、不良報告などもNotion上で一元管理していこうという動きがあります。

このようなNotionのような仕組みは、一般的に「ナレッジ共有ツール」と呼ばれます。
ナレッジとは knowledge(知識・知見)から来た言葉で、現場の経験やノウハウなど「再現可能な知見」という意味を持ちます。
ナレッジ共有ツールとは、社員が日々の業務で得た知見を社内に共有し、属人化を防ぎ、生産性を高めるための仕組みです。

代表的なナレッジ共有ツールとしては、

さて、このようなツールを導入する際によく聞かれる質問があります。

「マニュアルなんてNASに保存しておけばいいじゃないか。
わざわざNotionに載せる必要があるの?」

確かに、NASやクラウドストレージにファイルを保存しておけば、情報として“存在”します。
その情報を必要とする人は、ファイルを開けば知りたいことを知ることができるでしょう。

しかし、私たちは、それだけでは不十分だと考えています。
マニュアルを社内NASに保存するのと、Notionのようなナレッジ共有ツール上に掲載するのとでは、効果がまったく異なります。

なぜなら、情報は“ある”だけでは意味がない。
“伝わる”形で残さなければ、活用されないからです。

この考え方こそが、ナレッジ共有ツールを使う理由の核心です。
ここから、その理由を具体的に整理していきましょう。


情報共有の目的をもう一度考える

情報を共有する目的――それは、究極的には 業務効率と生産性の向上 にあります。

たとえば、作業手順がわからなければ誰かに聞かなければならない。
でも、その手順が明確に書かれていれば、一人で完結できます。

よくある失敗や注意点が記録されていれば、次に同じ作業をする人は同じミスを防げます。
ある機能や仕組みの背景が丁寧に書かれていれば、理解が早まり、改善も進みます。

こうして考えると、情報が適切に伝達されることこそ、生産性向上の鍵です。
つまり「情報共有」とは、単に“情報を残すこと”ではなく、**“次の人の手間を減らすこと”**でもあるのです。

しかし、ここで重要なのは――
情報が“ある”だけではダメだということ。

どれだけ優れたマニュアルがあっても、
それが見つけにくかったり、読みにくかったりすれば、結局使われません。
活用されない情報は「ない」のと同じです。

この 「伝わり方の質」 において、
NASにファイルを保存する場合と、Notionなどのナレッジ共有ツールに情報を掲載する場合とでは、
圧倒的な差が生まれます。

ナレッジ共有ツールは、単なる保管庫ではなく
「情報が届く」「つながる」ための仕組み
だからこそ、同じ内容を載せても成果に差が出るのです。


伝わるためには「読まれる設計」が必要

考えてみてください。
NHKや日経新聞、その他のニュースサイトで、各記事がPDFファイルで配信されているところがあるでしょうか?

おそらく見たことがないでしょう。
どのサイトも、Webブラウザやアプリ上で直接読める形式になっています。

同じように、Wikipedia の記事がすべてPDFだったらどうでしょう。
きっと誰も使いません。
Wikipediaでは記事内に関連リンクがあり、自然に別の記事に飛べる。
それが「伝えるために最適化された構造」だからです。

社内NASに置かれたマニュアルファイルは、確かに「ある」。
でも「読まれる準備」はできていません。
発見されにくく、関連情報とのリンクも作りにくい。

情報を“伝える”という観点から見れば、
NASでの保管だけでは不十分なのです。
ナレッジ共有ツールのような“読まれる設計”を持つ仕組みこそが、
現代の情報共有には必要不可欠です。


ファイル保管が向いているもの

もちろん、すべてをナレッジ共有ツールに載せる必要はありません。
クラウドストレージが向いているのは「存在が重要」なファイルです。

たとえば契約書。
契約書は「あること」が大切で、頻繁に中身を読むことはありません。
SDS(安全データシート)も同じで、必要なときに確認できれば十分です。

こうしたものはクラウドストレージで十分。
逆にナレッジ共有ツールに置くと、不要な情報が混ざってしまい、
本当に伝えたい知識が埋もれてしまうこともあります。


まとめ:情報は「残す」だけでなく「伝える」

要するに、

  • 保存が目的なら NAS やクラウドストレージ

  • 伝達が目的なら ナレッジ共有ツール

と使い分けることが大切です。

ナレッジ共有ツールは「読む」「探す」「つながる」ための仕組み。
単なるデータベースではなく、「情報を人に届かせる」ための道具です。

だからこそ、これからの会社においては
ナレッジ共有ツールを導入しない選択肢はありません。