イメージ

事例紹介Case Study

クラックが生じた下型ダイスを部分切除・交換して再生した金型修理事例

プレス金型の修理 / 中部地方 / 作業機メーカー / 更新日2026年10月05日

【今回の案件について】

プレス作業中に金型が破損した、というご相談をいただいた案件です。
破損箇所はガイドポストの取付部。ポストを固定している座の部分が割れてしまい、ガイドポストの交換が必要な状態でした。

 

【金型について】

用途:曲げ金型

サイズ : 1090 x 430 x 560 mm

重量 : 未計測

ガイドポストが破損した曲げ用プレス金型の全体像。手前が上型、奥が下型。

今回修理を行った金型の全体像。手前が上型、奥が下型です。

 

【破損の原因】

上型をプレスのスライドに固定する際、通常は前後の両側で固定します。
ところがオペレーターの方が誤って、片側(前側)だけを固定し、反対側(後ろ側)はフリーのままでスライドを上昇させてしまいました。

この状態で、スライドを上昇させると、固定されている前側はスライドと一緒に持ち上がりますが、固定されていない後ろ側は自重でそのまま垂れ下がります。つまり上型が傾き、金型が傾いてしまいます。

下型に取り付けられたポストが上型の受け側から抜ける前に傾きが生じたため、上型の受け側がポストに接触し、ポストに力がかかります。結果として、ガイドポストを固定している取付部にモーメントが集中し、金型に取り付けられていたガイドポストが左右2本とも破断してしまいました。

上型の固定状態による違いを比べた図。左は正常な状態で、プレススライドに上型を前後とも固定しているため、上型は水平のまま上がり、ポストには上下方向の案内の力しかかからない。右は今回の状態で、後ろ側しか固定されておらず、前側が自重で下がって上型が傾く。ポストをこじるモーメントが下型側の取付部に集中し、取付部が破断している

 

【金型の状態】

下型のガイドポストは下記の写真のように、左右とも取付部が破損していました。

プレス金型の正面から見て左側にあるガイドポストの取付部。周りの鋳物ホルダーが割れて欠けている箇所を赤枠で示している

金型の正面から見て左側のガイドポスト。赤枠の部分でホルダーが割れ、欠けています。


金型を正面から見て右側にあるガイドポストの接写。根元の取付部が破損していることを赤枠で示している。

金型正面から見て右側のガイドポスト。赤枠部分に破損が見られる

一方で、結果論ではありますが、金型全体を確認したところ、損傷はこのガイドポストの取付部に限定されておりその他の部分には問題は生じていませんでした。

下型側はこのとおり破損していたため、上型側のガイドブッシュにも影響が出ていることを予想していましたが、予想に反して目立った問題が出ていませんでした。おそらく下型のガイドが早めに破断し力が逃げたのではないかと思われます。

 

【処置について】

上記のようにガイドポストが破断しているため、交換が必要になります。
本来であれば、下型側のガイドポストだけでなく、上型のガイドブッシュも併せて交換します。

ただ、今回は現場の生産スケジュールの都合もあり、対応方針について相談を行ったところ、
まずは下型のガイドポストのみを交換する方針で進めることになりました。

交換にあたって部品を手配しようとしたところ、それまで使われていたガイドポストは既に生産が終了していました。互換性のある後継品はあるのですが、取付ネジ穴のピッチが変わっていました。

旧品と後継品のネジ穴位置を比べた図。左は旧品のネジ穴で間隔はピッチP、中央は後継品のネジ穴で間隔はピッチP+数mm。右は2つを重ねた図で、旧品と後継品の穴が一部重なり、干渉していることを矢印で示している

後継品はネジ穴の間隔が数mm広いため、旧品の穴と一部が重なってしまいます。

以前のねじ穴と新しく必要になるネジ穴がまったく別のところにあれば新しいねじ穴を開けることで対応可能ですが、
今回の場合には双方が重なりあってしまっているため一度ねじ穴を埋めてから再度開け直す作業が必要になりました。

 

こうした場合の対処にはいくつかの方法があります。

今回は

  1. 既存のネジ穴を、より大きな径に拡大する。
  2. 拡大した穴にタップを立てる。
  3. そこへボルト(埋め栓)をねじ込む。穴の内部までしっかり充填された状態にします。
  4. はみ出した頭部をボール盤等で削り取り、面一に仕上げる。

というやり方を採用し、既存のねじ穴を埋め立てました。

金型の取付面にある既存のネジ穴にネジを埋め込み、飛び出た部分を削っている作業中の写真。まだ頭が出ているネジと、削って面一になったネジが並んでいる。型面はマスキングテープで保護されている

既存のネジ穴をネジで埋め、飛び出た部分を削って平らにしているところです。

(修理後、新しいガイドポストがついた状態の写真を撮影し忘れており、写真がありませんでした。
今後、入手しましたら追記させていただきます。 2026年10月5日)

【まとめ】

ガイドポストの破損は、プレス金型を長く使っていれば珍しくないトラブルです。たいていは部品を交換すれば済む話ですが、今回のようにもともとの部品がすでに生産終了していることがあります。後継品はあっても取付ネジ穴のピッチが変わっており、そのままでは付きません。
こうした場合でも、母材側を加工し直すことで対応できることを示せる事例としてご参考にしていただける事例かと思います。

また今回は、損傷がガイドポストの取付部に限定されており、上型のガイドブッシュや型本体には問題がありませんでした。
ただしこれは、確認した結果として「大丈夫だった」ということです。
破損箇所を直すだけでなく、他の部分に影響が出ていないか、修理後に金型としてきちんと機能するかまで確認したうえでお返ししています。

 

ガイドポストが折れた、交換したいが同じ部品が手に入らないという場合にはぜひ一度お問い合わせください。

他社製の金型についても修理・改造に対応しておりますので、
万が一、金型の破損やトラブルが発生した際は、お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちらから

お問い合わせ

他の事例もこちらからご覧いただけます。

https://kanagataya.jp/case/