今回は、最近私たちKANAGATAYAによく寄せられるご依頼について、それがどのようなものかについて紹介したいと思います。
それは、QDC方式で使われていた金型を、普通のプレス機で使えるようにしてほしいというご依頼です。
この手の改造依頼についてはここ数年特に多いように感じます。
なぜこの依頼が増えているのか
背景にあるのは、プレス加工の移管です。近年、製造業では廃業や事業の整理をきっかけに、これまで取引先が担っていたプレス加工を別の会社へ移すケースが増えています。
移管の際、金型は新しい加工先へ運ばれます。
ところが、移管先のプレス機でそのまま使えるとは限りません。プレス機の仕様や金型の取り付け方式が、前の工場と違うことがあるからです。
特に多いのが、前の工場ではQDC方式で使われていた金型が、QDCの設備がない移管先に届くパターンです。
そもそもQDCとは
プレス加工をやってる業界の皆様にとっては、蛇足な説明ではありますが、
QDC(Quick Die Change)は、金型の交換時間を短くするための仕組みです。
プレス機側に事前にQDCホルダと呼ばれる機構を搭載しておき、個々の金型はそのQDCホルダに置くことで正しく位置決めがされ、金型の位置調整などの手間を省くことができるという仕組みです。
そのため、QDC前提の金型には次のような特徴があります。
- プレス機への取り付け用のシャンクがない
- 位置はプレス機側で決まるので、上型と下型の位置を合わせるガイドポストがなくても成り立つ
QDCの設備がある工場では合理的な作りです。しかし、QDC設備のないプレス機に載せると、このままでは使えません。
では、普通のプレス機で使えるようにするには
QDCに対応した金型はQDCホルダが必要です。
移管に際して、QDCホルダも一緒に移管されてくるかはわかりません。
なぜなら、移管される部品製造のすべてが移管されてくるとは限らず、元々A社がやってものが、B社とC社で分割される、というようなこともありえます。
その場合、QDCホルダもどちらか一方にしか移管されませんし、そもそもそのQDCホルダが移管先のプレス機に乗るのか?という問題もあります。
そこで、QDC対応の金型を、普通のプレス機で使えるような改造をするということに需要があります。
具体的な改造内容としては、
1. シャンクの追加
一般的なプレス機では、上型をスライドに固定するためにシャンクを使います。QDC前提の金型にはこれがないため、新たに取り付ける必要があります。
2. ガイドポストの追加
QDCでは位置がプレス機側で決まりますが、普通のプレス機で使う以上、上型と下型の位置関係は金型自身で決める必要があります。そこでガイドポストを追加します。
曲げ型(ベンド型)でもガイドは必要ですが、ピアス型(穴抜き型)ではその重要性がさらに高くなります。パンチとダイの位置がわずかにずれるだけで、クリアランスが偏ってパンチの欠けや破損につながり、危険です。抜き型を移管する場合、ガイドの追加は必須と考えてください。
シャンクを付ける場所がないときは
シャンクを付けるには、天板の中央付近に取り付け穴を加工するのが基本です。ところが金型によっては、天板の中央にネジやほかの部品があり、シャンク用の穴を開けるスペースがないことがあります。(私たちが経験する範囲では、むしろシャンク用の穴をそのままあけられるケースの方が少ないです)。
そうした場合は、元の天板の上に新しい天板を追加し、そこにシャンクを取り付ける方法があります。
天板を追加すると金型の高さ(ダイハイト)が変わりますが、これを逆に利用することもできます。移管先のプレス機に合わせてダイハイトを調整する必要があるなら、天板の追加で同時に解決できます。
このように、移管に伴う改造は「シャンクを付ける」「ガイドを付ける」といった単純な作業に見えて、実際には金型ごとの構造や移管先の設備に合わせた判断が必要になります。
移管された金型でお困りの方へ
生産移管で届いた金型が、自社のプレス機に合わないというご相談は少なくありません。
- QDC用の金型を普通のプレスで使いたい
- ダイハイトが合わない
- ガイドがなく、位置合わせが不安
- 図面が残っていない
KANAGATAYAでは、現物を確認したうえで、移管先の設備に合わせた改造をご提案します。他社製・図面なしの金型にも対応していますので、お気軽にご相談ください。
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