
ボタンダイが抜けなくなった金型の修理・メンテナンス事例
プレス金型の修理・メンテナンス / 東北地方 / 作業機メーカー 更新日2026年4月27日
【今回の案件について】
今回ご相談いただいた金型では、複数あるφ3.5の穴においてバリの発生が確認されていました。
お客様にて改善を試み、該当箇所のボタンダイ交換を行おうとされたものの、
工具を用いて叩くなどの方法でも取り外すことができず、かえって工具が折れて中に残ってしまい、対応にお困りとのことでご相談をいただきました。
(写真①の金型に赤丸で示されてるところが該当のボタンダイの部分、穴からのぞいているのは、ボタンダイを取り外そうとして中に残ってしまった工具)
お話を伺い、以下の作業を実施させていただくこととなりました。
① 固着して取り外せなくなったボタンダイの取り外しおよび交換
② バリが発生しているその他のボタンダイの交換
③ 旧規格(φ12)のボタンダイが一部混在していたため、現行規格(φ13)への統一
④ 金型全体の状態確認および点検
【金型について】
用途 : ピアス用金型
大きさ : 1370 x 400 x 350 mm (幅 x 奥行 x 高さ)
重量 : 800kg
加工材料 : SPHC t=2.3mm
その他 : 図面あり、他社製
【金型の状態】
本金型は20年以上前に製作されたものでしたが、現在も継続して使用されていることもあり、全体としては良好な状態が保たれていました。
一方で、今回問題となっていたボタンダイ周辺については、下記のような点が確認されました。
まず、写真②の①の箇所では、旧規格であるφ12のボタンダイが使用されており、現行規格であるφ13への変更が必要な状態でした。(事前にお客様から聞いていた通り)
まず、写真②の②で示す箇所では、ボタンダイが固着して取り外せない状態となっており、取り外しを試みた際に折損した工具の先端が穴内部に残留している状況が確認されました。(事前にお客様から聞いていた通り)
さらに、写真②の③の箇所では、段付き形状のボタンダイが使用されており、かつφ10のボタンダイが組み込まれていました。
ボタンダイ取付穴にも引っかかりが見られるなど、周辺形状が全体的にいびつな状態となっていました。(写真③参照)
これについてはお客様に報告をして、規格品への交換を提案し承認していただきました。
なお、その他のボタンダイについては固着などの問題はなく、お客様にて事前に取り外しを行っていただいていたため、交換作業は比較的スムーズに実施できる状態でした。
また上型のほうについても確認を行いましたが、パンチの痛みなどは特に見られませんでした。
【処置】
今回の処置では、各ボタンダイの状態に応じて個別に対応を行いながら、全体として現行規格(φ13)への統一と機能回復を図りました。
■ 下型の処置内容
各箇所の対応は以下の通りです。
①
既存のボタンダイ外径がφ12であったため、現行規格であるφ13へ変更しました。
これに伴い、取付穴をマシニング加工にて拡大し、既製品のボタンダイが使用できる状態に修正しています。
②
ボタンダイが固着していましたが、弊社のほうで工具とハンマーで叩いて試したところ、取り外すことができました。
おそらく弊社にあった工具の大きさ等の相性もあり、より効果的に押し出す力を伝えることができたのかと思います。
取り外し後の穴については大きな損傷は見られなかったため、リュータにて軽く仕上げを行い、φ13の既製品ボタンダイへ交換しました。
③
取り外したボタンダイは段付きの異形状となっており(写真③参照)、既製品の使用ができない状態でした。
また、現状ではφ10のボタンダイが使用されていたため、こちらもφ13へ統一しました。
そこで、既製品を使うために、マシニング加工により取付穴を修正し、ボタンダイはφ13の既製品へと交換しました。
④⑤⑥
これらの箇所については既製品のボタンダイへ交換を行いました。
なお、全6箇所のボタンダイについては、それぞれ個別に研磨を行い、高さ調整を実施しています。
■ 上型の処置内容
下型においてボタンダイ径の変更を行った箇所(①・③など)については、上型側とのクリアランス調整が必要となるため、刃合わせを実施しました。
■ 最終的に弊社のプレス機でトライをして、トライ品をお客様に送付し、確認をしていただきました。
確認により、問題なしという判断をいただきましたので、納品となりました。

